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子宮腺筋症と中医学

西洋医学の視点から知る、原因と治療の現在地

「生理のたびに動けなくなるほどの痛みがある」 「経血量が多くて、外出するのが不安……」

 

そんな切実なお悩みを抱える女性の中には、「子宮腺筋症」という診断を受け、不安を感じている方も少なくありません。

 

子宮腺筋症は、子宮内膜症や子宮筋腫と並んで、現代女性のQOL(生活の質)を大きく左右する疾患の一つです。まずは西洋医学的な視点から、この病気の正体と一般的な治療法について分かりやすく解説します。

 

 

1. 子宮腺筋症とはどんな病気?

本来、子宮の内側を覆っているはずの「子宮内膜」に似た組織が、何らかの理由で子宮の壁を作っている「筋層(筋肉の層)」の中に入り込んでしまう病気です。

 

筋層内に入り込んだ組織も、生理の周期に合わせて増殖し、出血します。しかし、筋肉の中に閉じ込められているため、血液が外に出ることができません。その結果、子宮の壁が厚く硬く腫れ上がり、強い痛みや過多月経を引き起こすのです。

 

主な症状

激しい生理痛: 年々痛みが強くなる傾向があります。

 

過多月経: 経血量が増え、大きなレバー状の塊が混じることもあります。

 

貧血: 多量出血に伴う立ちくらみや息切れ。

 

慢性骨盤痛: 生理中以外にも下腹部が痛むことがあります。

 

2. 西洋医学における診断とアプローチ

病院(婦人科)では、主に内診、超音波(エコー)検査、そしてより詳細な状態を確認するためのMRI検査によって診断が行われます。

 

西洋医学の治療目標は、大きく分けて「症状の緩和」と「病変のコントロール」です。

 

① 薬物療法(対症療法・ホルモン療法)

鎮痛剤(NSAIDs): 痛みの原因物質(プロスタグランジン)を抑えます。

 

低用量ピル・LEP製剤: 排卵を抑え、内膜の増殖を抑制することで出血量や痛みを減らします。

 

黄体ホルモン療法(ディナゲストなど): 生理を止め、病変を小さくしていきます。

 

GnRHアゴニスト(偽閉経療法): ホルモンを一時的に閉経に近い状態まで下げ、炎症を鎮めます。

 

子宮内レボノルゲストレル放出システム(ミレーナ): 子宮内に器具を留置し、局所的にホルモンを作用させます。

 

② 手術療法

症状が非常に重い場合や、薬物療法の効果が不十分な場合、あるいは妊娠を希望されるかどうかによって、以下の選択肢が検討されます。

 

子宮全摘術: 根本的な解決となりますが、妊娠はできなくなります。

 

腺筋症核出術: 病変部分のみをできる限り取り除き、子宮を残す方法です。

 

3. 「痛みを我慢する」を当たり前にしないために

西洋医学の治療は、検査数値や画像診断に基づき、即効性のあるアプローチ(痛み止めやホルモン制御)を得意としています。

 

しかし、中には「薬の副作用が辛い」「手術は避けたいけれど、今のままでは不安」というお声があるのも事実です。また、子宮腺筋症は「不妊」の原因の一つになることもあり、30代〜40代の妊活中の方にとっては非常にデリケートな問題です。

 

当院は西洋医学の素晴らしい進歩を尊重しつつ、それだけではカバーしきれない「体質そのもののケア」も重要だと考えています。

 

2024年6月20日youtubeLIVEで産婦人科医の葉月かんな先生をお迎えいたしました。
詳しくは、こちらをご覧ください。

 

 

 

東洋医学では子宮腺筋症をどう見るか?

東洋医学において、子宮腺筋症の主原因は「瘀血(おけつ)」にあると考えます。

 

「瘀血」とは、血液の流れが滞り、ドロドロになった状態のこと。子宮の筋肉の中に血液が溜まってしまう腺筋症は、まさにこの「瘀血」が形を成したものといえます。

 

しかし、大切なのは「なぜ血が滞ってしまったのか?」という背景です。主な原因は以下の3つのタイプに分けられます。

 

① 「冷え」タイプ(寒凝血瘀)

体が冷えることで、水道管の水が凍るように血液の巡りが悪くなります。

 

特徴: お腹や足先が冷える、生理痛が温めると楽になる、経血に塊が多い。

 

② 「ストレス」タイプ(気滞血瘀)

エネルギー(気)の流れがストレスで止まると、それに伴って血液(血)も止まってしまいます。

 

特徴: 生理前に胸が張る、イライラしやすい、痛みの場所が移動する。

 

③ 「エネルギー不足」タイプ(気虚血瘀)

血液を押し流すパワー(気)が足りないために、血が渋滞を起こします。

 

特徴: 疲れやすい、生理の後半に重だるい痛みが続く、経血の色が薄い。

 

中医学のアプローチ

当院では、鍼灸と漢方の相乗効果で、この「瘀血」を根本から改善するお手伝いをしています。

 

鍼灸で「骨盤内の環境」を耕す

鍼灸治療には、自律神経を整え、内臓の血流をダイレクトに促進する力があります。

 

子宮の緊張を緩める: 硬くなった子宮周辺の筋肉を緩め、痛みの物質を流しやすくします。

 

内臓を温める: 適切なツボを刺激することで、骨盤深部の温度を上げ、血流を活性化させます。

 

漢方で「血液の質」を変える

「血を巡らせる」「塊を溶かす」「温める」といった作用を持つ漢方薬を、お客様の体質(証)に合わせて選びます。

 

瘀血を取り除く「活血化瘀(かっけつかお)」の処方。

 

足りないエネルギーを補う処方。

 

「ダブルの視点」で、もっと楽になれる

西洋医学で「今ある炎症」を抑えながら、東洋医学で「炎症が起きにくい土壌」を作っていく。

 

この両方を組み合わせることで、

 

「鎮痛剤を飲む回数が減ってきた」

 

「経血の塊が小さくなり、貧血が改善した」

 

「妊活に向けた体づくりが前向きに進むようになった」 といった嬉しい変化を実感される方が多くいらっしゃいます。

 

一人で悩まないでください

子宮腺筋症は、毎月の生理がある限り、長く付き合っていかなければならない病気です。だからこそ、「我慢する」のではなく「整える」という選択肢を持っていただきたいのです。

 

「自分の体質はどのタイプだろう?」「鍼灸や漢方は初めてで不安……」 そんな方も、まずは一度ご相談ください。不妊カウンセラーでもある私が、あなたの心と体に寄り添い、一番良い方法を一緒に考えていきます。

 

こちらの動画もご覧ください(2024/6/20)